Ryukoku University Library · 491.7-4-W-2 · Image terms · IIIF manifest
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右丁
廻り東浦を乗る時に友船三艘有しか昼過より
俄に雲霧起り先の友ふねも見へわかす友船に後
れしと岩小島の間をあはてふためき械を掻かせ急
きけれとも友船は終に見へす雲霧はいよ〳〵深く
也風起りけれは頻にいそき既に日も暮合に及ひた
り時に水主の蝦夷人に土地の容子を尋れとも此辺
は初て通船せしといふ依て案内を求むへき便はな
く雲霧は弥深く風は強く波濤は高く崖に船
をよせて見れは険阻成岩崖にて波浪高く湾き巻
て海水逆立中にいて船を着へき所もなく是非なく
左丁
沖の方へ出れは日は暮る雲霧はふかく十方闇く
成に船覆るを待のみ然るに同船に乗組たる内に
占を得たる蝦夷人ありて占をはしめたり萁占の程は
萁蝦夷の額の上へ魚の骨を載て呪を唱へ首を垂
れ彼骨を席前に落し居たる有さまを見て考
の様子をいふ其意に任せ漕行磯辺とおほしき方へ
船をよせて見れは少しの岩間の泊ありて船を着たり
誠に辛き一命を助りて船より上り岩の中段に登り
巌崫に宿しけり食物もなくたゝ火を焚て安
堵の思ひをなしたるのみ爰に蝦夷ともは食事も