アイヌ語古記録データベース Early Records Database of the Ainu Language Aynuitak Huskokampi

北海随筆 Page 37

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右丁

  ありていにしへ仙人住けるあとゝ云伝ける事ハあれとも義経の

  社とてはなしといへりクルはサルの聞違なるへし西蝦夷

  地六条の間といふ所に弁慶崎といふ所あり義経此所より

  北高麗へ渡り給ふともいへり是も又定かならす東蝦夷

  地に鍬先といふものありけるを義経の甲の鍬形なりとて

  宝物とし崇敬セし蝦夷人有けるよし義経の甲といふ所の

  語とすへき事もなく只いひならわセし事と聞ゆいにしへ

  奥羽戦争の時は落人とも多く蝦夷へ落行けるまゝ夷

  人をあさむき古来英雄の名をかりて威勢を張たる

  ものもあるへし今蝦夷地に兵具のあるは是より渡したる

左丁

  にくはなく落人の兵具の残りたるなりともいへり鍬先と

  いふは鍬の形セし物にて廻りに巴を彫入てあり則鍬の

  いまた独をなさゝる物のことくなれハ松前のものとも鍬先と

  いひならはセしものなるへし是又蝦夷の細工にあらす

  以前カラフトより渡りたるなるへし此鍬先甲の鍬形の

  ことくなる故義経の鍬形といひ伝へたるなり夷人の宝

  物にて神物のことく崇敬セり蝦夷中多くあるもの

  にもあらすまれに所持セる夷は秘して深くかくセり

  義経の事を夷言にウキクルミといへり是は上瑠理に

  ありけるものと聞ゆ此浄るりの根元いかゝして作り

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