アイヌ語古記録データベース Early Records Database of the Ainu Language Aynuitak Huskokampi

北海随筆 Page 18

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右丁

一 ハホロ西海にて四十里の砂浜也海より砂金あかる事

  是も余国に比類なき事也此浜西南に海を請たる

  地故春夏東南の風には波あれなくして秋冬

  西風のあれには大洋より波濤を押あくる故此時

  海底の砂金を岡へ打揚る也春夏とても大荒あり

  たる翌日は砂金上り一帯黄色なりといへり此地真向に

  西を請て外にさへきるものなき故沖にて破船の道

  具等此浜へ寄る其道具の内見知さる品々あり又

  大木なとも寄る事有て是又不見知木も有なれハ

  異国より来る物共と見ゆるとなり松前より是迄

左丁

  海上百六十里也此辺よりソウヤ迄の間は山少く平原

  多し或者云けるは惣して国は東南を前とし西北を

  後ろとしたるもの多し此国はさにはあらす西北平坦の

  地多く居住によろし東南はこと〳〵く山々にてしかも

  崎斐絶壁すさましき景色なれハ今の松前は国の

  うしろなりといひける然共此ハホロ極寒の地にて中々

  住居成へき地にあらす草木魚鼈まて少き故蝦夷

  人たるも住セす前々砂金取に冬こもりセし者もあり

  けれとも多くハ寒気にたへす死亡セり死セさるものも

  松前へ帰りては病者に成て廃人になりしとなり

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