蝦夷語箋
えぞ ごせん · Ezo gosen · 上原熊次郎 · 1854 · 辞書・語彙集 · 地名 · 集字 · 目録レコード
語彙集の各行を見出しと片仮名の語形に分けたものです。現代語形は編集上の解釈で、確度と典拠を添えています。現代語形の欄が空のものはまだ解釈していません。校訂した語形には原文〔ママ〕と校訂理由を併記します。原文・校訂形のどちらでも検索できます。
358項目 · 全122箇所中20
| 行 | 見出し | 語形 | 注 | 現代語形 | 確度 | 典拠 | 所蔵本 · コマ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 天地 | |||||||
4 | 雨(あめ) | トシカ としかロシア語 | дождикъ | 中 | まくぽり, X, 2026-09-08, https://x.com/mkpoli/status/2097310085487947986語釈・考証まくぽりの比定:дождикъ /ˈdoʑːɪk/。 投稿の注記: たぶん дождь「雨」ではなく дождикъ 「小雨」 дождикъ(дождик)/ˈdoʑːɪk/「雨・小雨」。まくぽりは指小形 дождикъ を挙げる。語末カまでを含めれば属格 дождика /ˈdoʑːɪkə/ も比較できる。カを仮名転写の補助母音とみるか、実際の格語尾とみるかは、この単独項目からは決められない。 дождик は дождь の指小形だが、親しみを込めた雨の呼び方にもなるため、採録時の降水量までを「小雨」と断定しない。дождь の子音群には発音の変異もあり、IPA は比定語の参考音である。 | ninjal · 3 | |
風(かぜ)同音 | ボコダ ぼこだロシア語 | погода | 中 | まくぽり, X, 2026-09-08, https://x.com/mkpoli/status/2097314075583893717語釈・考証まくぽりの比定:погода /pɐˈɡodə/。 投稿の注記: погода「天気」 vs. вѣтеръ「風」 同音(をと)シスラノは 同=風、即ち「風の音」は слышно「聞こえる」か погода /pɐˈɡodə/「天気」。まくぽりは見出しの風との意味のずれを指摘し、通常の風を表す вѣтеръ(ветер)を比較する。ボ・コはそれぞれ п・г と清濁が一致しないが、本附録の不安定な清濁表記の範囲で理解できる。 傍記「同音(をと)シスラノ」は、同を風に受けて「風の音」と読むというまくぽりの解釈がある。слышно /ˈslɨʂnə/「聞こえる」が候補で、物の名称に対して聞こえ方を答えた表現となる。シスラノ全体との音対応にはなお説明を要する部分がある。傍記の位置は本文の項目区分と併せて確認する必要がある。 | |||
雲(くも) | ヲブラス をぶらすロシア語 | облако | 低 | まくぽり, X, 2026-09-08, https://x.com/mkpoli/status/2097314075583893717語釈・考証まくぽりの比定:облако /ˈobləkə/。 投稿の注記: なにゆゑ「ス」?「カ」の誤写か? OCS облацы (pl.) か облако /ˈobləkə/「雲」。まくぽりは末尾スと /kə/ の不一致を挙げ、カの誤写や教会スラヴ語の複数形 облацы を比較している。教会スラヴ語形を、当時のロシア語話者の実際の発音としてそのまま採ることはできない。 生森(1978)の『北槎異聞』対照表にも雲に対応するス終わりの形がある。したがって、スを『蝦夷語箋』一冊だけの誤りとする説明には慎重さが必要。образъ /ˈobrəs/「像・イコン」も音は近いが、佛像ホシフが богъ に対応するという読みと組み合わせても、雲を表す語が得られる相互交換にはならない。 | |||
5 | 水(みづ) | ボタ ぼたロシア語 | вода | 中 | まくぽり, X, 2026-09-08, https://x.com/mkpoli/status/2097317311715913790語釈・考証まくぽりの比定:вода /vɐˈda/。 投稿の注記: 有声音は清音、語頭の v はバ行 вода /vɐˈda/「水」。語頭вをバ行、дを清音タで記す。в・фがすべてハ行になるわけではなく、本附録の中にもバ行との揺れがあることを示す項目。無強勢の第一母音と強勢のある第二母音を、仮名のオ・アのみから同じ弱化と扱わない。 | ninjal · 3 | |
火(ひ) | ヲコニ をこにロシア語 | огонь | 中 | まくぽり, X, 2026-09-08, https://x.com/mkpoli/status/2097317311715913790語釈・考証まくぽりの比定:огонь /ɐˈɡonʲ/。 投稿の注記: 末尾の「ニ」は軟子音 /nʲ/ を写したか огонь /ɐˈɡonʲ/「火」。まくぽりは末尾ニに軟子音 /nʲ/ の反映を見る。語頭ヲは無強勢о、コはгの転写に対応する。語末に /i/ があったとする必要はなく、軟音を日本語のニで近似したものと考えられる。 | |||
寒(かん) | イツバ いつばロシア語 | изба | 高 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098017876884271264語釈・考証まくぽりの比定:изба /ɪzˈba/。 投稿の注記: изба「木造家屋」、студёно「寒い・冷え込む」 изба /ɪzˈba/「木造家屋」。まくぽりの後続の指摘によって、家シトジヨノ=студёно「寒い」と組にすると、寒・家のロシア語が入れ替わった関係になる。語彙の同定と和訳の配置を分けて扱い、原文の見出しと仮名は保存する。 『北槎聞略』の寒に対応する形を岩井(2020)の索引で、『北槎異聞』の家に対応する изба 系の形を生森(1978)の対照表で比較できる。これらは比定を支えるが、交換が採録・編纂・写し・版刻のどの段階に起きたかまでは示さない。 生森將人 1978『北槎異聞』のロシア語。 岩井憲幸 2020『北槎聞略』巻之十一〈言語〉片仮名ロシア語索引。 寒・家の入れ替えを示した投稿:まくぽり 2026-09-10、寒と家の入れ替え。 | |||
6 | 暑(しよ) | シヤルコ しやるこロシア語 | жарко | 中 | まくぽり, X, 2026-09-08, https://x.com/mkpoli/status/2097317940911919496語釈・考証まくぽりの比定:жарко /ˈʐarkə/。 жарко /ˈʐarkə/「暑い」。状態を表す副詞・述語で、寒に配された изба と品詞を合わせて解する必要はない。жのそり舌摩擦音をシヤで近似し、語末の無強勢оをコで記す。ロシア語の弱化母音が日本語の同じ母音段に一律に写されるわけではない。 | ninjal · 3 | |
春(はる) | レスナ校訂 原文:ヲセン〔ママ〕 をせん 校訂理由原画像では「春(はる)」にヲセン(をせん)、「秋(あき)」にレスナ(れすな)を配する〔ママ〕。ヲセンはロシア語осень「秋」、レスナはвесна「春」に当たり、二項の語形が入れ違ったものと推定して校訂する。寒・暑・春・夏・秋・冬・正月と続く見出しの順は崩れておらず、夏レタ(лѣто)・冬ジマ(зима)は見出しと一致する。まくぽりの比定(2026-09-08、https://x.com/mkpoli/status/2097318289747902842)による。語義はГрамота.ру「осень」「весна」(https://gramota.ru/meta/osen 、https://gramota.ru/meta/vesna)による。 | осень | 高 | まくぽり, X, 2026-09-08, https://x.com/mkpoli/status/2097318289747902842語釈・考証まくぽりの比定:осень /ˈosʲɪnʲ/。 投稿の注記: осень「秋」 осень /ˈosʲɪnʲ/「秋」。まくぽりの指摘どおり、秋レスナ=весна「春」と見出しが逆に対応する。語形を単独に解く場合より、対になる二項目をともに説明できる入れ替えの方が根拠が強い。 校訂では秋のレスナと語形を交換し、春の位置にヲセンが記録されていることはママとして残す。語末の軟子音 /nʲ/ はンだけでも転写され得るため、火ヲコニのニと表記が違うことは同定を妨げない。 | |||
夏(なつ) | レタ れたロシア語 | лѣто | 中 | まくぽり, X, 2026-09-08, https://x.com/mkpoli/status/2097318289747902842語釈・考証まくぽりの比定:лѣто /ˈlʲetə/。 投稿の注記: 弱化の о がア段 лѣто(лето)/ˈlʲetə/「夏」。まくぽりが指摘するように、語末の無強勢оがア段のタで記される。春と秋の交換は夏・冬を含む一方向のずれにはなっておらず、夏はその位置に合う。 | |||
7 | 秋(あき) | ヲセン校訂 原文:レスナ〔ママ〕 れすな 校訂理由原画像では「春(はる)」にヲセン(をせん)、「秋(あき)」にレスナ(れすな)を配する〔ママ〕。ヲセンはロシア語осень「秋」、レスナはвесна「春」に当たり、二項の語形が入れ違ったものと推定して校訂する。寒・暑・春・夏・秋・冬・正月と続く見出しの順は崩れておらず、夏レタ(лѣто)・冬ジマ(зима)は見出しと一致する。まくぽりの比定(2026-09-08、https://x.com/mkpoli/status/2097318289747902842)による。語義はГрамота.ру「осень」「весна」(https://gramota.ru/meta/osen 、https://gramota.ru/meta/vesna)による。 | весна | 高 | まくぽり, X, 2026-09-08, https://x.com/mkpoli/status/2097318289747902842語釈・考証まくぽりの比定:весна /vʲeˈsna/。 投稿の注記: весна「春」、/vʲe/ → レ? весна /vʲɪˈsna/「春」。春ヲセン=осень「秋」と相互に見出しが逆になる。まくぽりは語頭 /vʲe/ とレの対応にも疑問を付す。 語末 -сна と意味の対称性は同定を強く支える一方、レは通常のвの転写としては不規則。文字の混同と採録時の近似のいずれも考慮できるが、未確認の訂正形を本文の仮名として置き換えない。校訂では春のヲセンと語形を交換し、原文の配置はママとして残す。 | ninjal · 3 | |
冬(ふゆ) | ジマ じまロシア語 | зима | 中 | まくぽり, X, 2026-09-08, https://x.com/mkpoli/status/2097318289747902842語釈・考証まくぽりの比定:зима /zʲɪˈma/。 зима /zʲɪˈma/「冬」。軟音зと無強勢иをジ、強勢のあるмаをマで表した形と解される。夏レタとともに和訳・語形が一致し、春秋の交換の範囲を判断する手がかりになる。 | |||
正月(しやうぐわつ) | ヱスハリ ゑすはりロシア語 | январь | 低 | まくぽり, X, 2026-09-08, https://x.com/mkpoli/status/2097324828286189743語釈・考証まくぽりの比定:январь /jenˈvarʲ/。 投稿の注記: ヱンバリ yenbari のつもりか январь /jɪnˈvarʲ/「一月」。まくぽりはヱンバリを想定する。スとンの混同を考えると語中 /n/ を回復でき、ハはв、末尾リは軟音рに対応する。これは語形比較に基づく訂正案であり、ヱンバリという別本の実在を示すものではない。投稿の IPA /jenˈvarʲ/ と、ここに示す現代標準音の参考形は区別する。 | |||
8 | 二月 | ヘラテリ へらてりロシア語 | февраль | 低 | まくぽり, X, 2026-09-08, https://x.com/mkpoli/status/2097324828286189743語釈・考証まくぽりの比定:февраль /fʲeˈvralʲ/。 投稿の注記: февраль「二月」。テに対応する音がない。 Невский (1936:44) は ヘブラリ feburari とする февраль /fʲɪˈvralʲ/「二月」。まくぽりはテに対応する音がないことを指摘し、Невский(1936:44)のヘブラリに相当する訂正を紹介する。 Невский は本附録の仮名の混乱を論じる中で herateri の訂正形を示している。これは論者の修正案として引用する。ヘラテリから架空の /t/ を含む方言形を作る根拠にはならず、また別本でヘブラリと確認できたという意味でもない。 | ninjal · 3 | |
三月 | マルタ まるたロシア語 | марта | 低 | まくぽり, X, 2026-09-08, https://x.com/mkpoli/status/2097324828286189743語釈・考証まくぽりの比定:марта /ˈmartə/。 марта /ˈmartə/。мартъ(март)「三月」の属格形に一致する。日付表現では месяца のような別の名詞を補わずに月名が属格になるため、採録された語が辞書の見出し形と違っていても不自然ではない。 一方、名詞主格 март の語末 /t/ に日本語の補助母音が付いた形も同じマルタになり得る。まくぽりが掲げる марта を採り、格の確定は仮名だけではできないことを付記する。 | |||
四月 | アブレリ あぶれりロシア語 | апрѣль | 中 | まくぽり, X, 2026-09-08, https://x.com/mkpoli/status/2097324828286189743語釈・考証まくぽりの比定:апрѣль /ɐˈprʲelʲ/。 апрѣль(апрель)/ɐˈprʲelʲ/「四月」。子音連続 /prʲ/ をブレ、語末の軟音 /lʲ/ をリで記す。ブの有声音表記はロシア語の無声 /p/ と一致しないが、清濁の揺れる本附録では同定を妨げない。 | |||
1 | 五月 | マイ まいロシア語 | май | 中 | まくぽり, X, 2026-09-08, https://x.com/mkpoli/status/2097324828286189743語釈・考証まくぽりの比定:май /maj/。 май /maj/「五月」。音・意味ともによく一致する。イは独立したロシア語の音節を表すものではなく、語末の半母音 /j/ に対応する。 | ninjal · 4 | |
六月 | コフニ こふにロシア語 | іюнь | 低 | まくぽり, X, 2026-09-08, https://x.com/mkpoli/status/2097324828286189743語釈・考証まくぽりの比定:іюнь /iˈjunʲ/。 投稿の注記: Невский (1936:44) は ユフニ yufuni → yūni とする іюнь(июнь)/ɪˈjunʲ/「六月」。まくぽりはНевский(1936:44)の kofuni → yufuni(読み yūni)という修正を紹介する。コとユの文字の混同を想定する訂正案である。 フを現代ロシア語の /f/ と解すると語形に合わない。歴史的な仮名の母音表記として七月イフリと比較できる。Невский の修正を別本の外交的翻刻とみなさず、原文のコフニを残す。 | |||
七月 | イフリ いふりロシア語 | іюль | 中 | まくぽり, X, 2026-09-08, https://x.com/mkpoli/status/2097324828286189743語釈・考証まくぽりの比定:іюль /iˈjulʲ/。 іюль(июль)/ɪˈjulʲ/「七月」。まくぽりは ifuri → yūri と読む。六月コフニの訂正案ユフニと対になり、末尾ニとリがそれぞれ軟音 /nʲ/ と /lʲ/ に対応する。フはこのロシア語に独立した /f/ があることを示さない。 | |||
2 | 八月 | アヲス あをすロシア語 | августъ | 低 | まくぽり, X, 2026-09-08, https://x.com/mkpoli/status/2097324828286189743語釈・考証まくぽりの比定:августъ /ˈavɡʊst/。 投稿の注記: cf.『北槎異聞』「アウス」 アグス agusu か? августъ(август)/ˈavɡʊst/「八月」。まくぽりは『北槎異聞』のアウスを比較し、アグスという訂正の可能性も挙げる。子音群 /vɡ/ と語末 /st/ が大きく縮まった転写として理解できる。 比較資料にも短縮形があるため、アヲスの短さだけから『蝦夷語箋』の版刻の誤りと断定しない。ヲの文字形の問題と、採録された音の省略とは別に検討する必要がある。 | ninjal · 4 | |
九月 | センヲマフリ せんをまふりロシア語 | сентябрь | 低 | まくぽり, X, 2026-09-08, https://x.com/mkpoli/status/2097324828286189743語釈・考証まくぽりの比定:сентябрь /sʲenʲˈtʲabrʲ/。 投稿の注記: センチヤブリ sentyaburi か сентябрь /sʲɪnʲˈtʲabrʲ/「九月」。まくぽりはセンチヤブリを想定する。センと語末フリ、月名の配列が比定を支えるが、ヲマと /tʲa/ の対応は不規則。 仮名の訂正案は月名全体から遡って得た読みであり、ヲ→チ、マ→ヤを本附録全体に自動適用できる規則とはしない。 | |||
十月 | ヲキナヤフリ をきなやふりロシア語 | октябрь | 低 | まくぽり, X, 2026-09-08, https://x.com/mkpoli/status/2097324828286189743語釈・考証まくぽりの比定:октябрь /ɐkˈtʲabrʲ/。 投稿の注記: ヲキチヤブリ okityaburi か октябрь /ɐkˈtʲabrʲ/「十月」。まくぽりはヲキチヤブリを想定する。語頭 /ɐk/ と末尾 /brʲ/ に対応する部分があり、九月・十一月と並ぶ月名の列も同定を支える。語中ナは /tʲ/ に規則的に対応するとは考えにくく、チとの文字の混同が候補になる。 | |||
3 | 十一月 | ノマフリ のまふりロシア語 | ноябрь | 低 | まくぽり, X, 2026-09-08, https://x.com/mkpoli/status/2097324828286189743語釈・考証まくぽりの比定:ноябрь /nɐˈjabrʲ/。 投稿の注記: ノヤブリ noyaburi か ноябрь /nɐˈjabrʲ/「十一月」。まくぽりはノヤブリを想定する。マとヤ、清濁を区別しないフとブの問題を分ける必要がある。ノマフリという記録形を残し、推定したノヤブリを未確認の原形として扱う。 | ninjal · 4 | |
十二月 | ゼカフリ ぜかふりロシア語 | декабрь | 中 | まくぽり, X, 2026-09-08, https://x.com/mkpoli/status/2097324828286189743語釈・考証まくぽりの比定:декабрь /dʲeˈkabrʲ/。 投稿の注記: ゼカブリ zyekaburi か декабрь /dʲɪˈkabrʲ/「十二月」。まくぽりはゼカブリを想定する。ゼは軟子音дの聞き取り、フはбの無濁点表記、リは軟音рの近似として理解できる。九月から十二月に繰り返される語末フリの対応は、各項目を相互に比較する根拠になる。 | |||
道(みち) | トウロガ とうろがロシア語 | дорога | 中 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098017876884271264語釈・考証まくぽりの比定:дорога /dɐˈroɡə/。 дорога「道」。/d/ を清音ト、/r/ をラ行で近似する。トウのウをロシア語の独立した長母音とみなす根拠はなく、仮名の綴りと比定語の音節を区別する。生森(1978:52)の『北槎異聞』では通に дорога が対応する。生森 1978, p. 52 | |||
4 | 家(いへ) | シトジヨノ しとじよのロシア語 | студёно | 高 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098017876884271264語釈・考証まくぽりの比定:студёно /stuˈdʲono/。 投稿の注記: 前述の「寒(かん)」と入れ替わっている студёно /stʊˈdʲɵnə/ は寒さを述べる語で、家の意味を持たない。まくぽりが示した寒イツバ=изба との交換によって、双方の和訳を説明できる。ジョに近いジヨは軟子音 /dʲ/ と後続母音の近似と考えられる。 比較資料には『北槎異聞』の家イスバドマ(изба-дом)と、『北槎聞略』の寒に対応するシトヂャノがある。交換を認めても、その成立段階や、各資料間の直接の依存関係までは確定しない。生森 1978, p. 56 岩井 2020, p. 142「寒」 寒・家の入れ替えを示した投稿:まくぽり 2026-09-10、寒と家の入れ替え。 | ninjal · 4 | |
井戸(ゐど) | コロセツ ころせつロシア語 | колодецъ | 中 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098018973535424684語釈・考証まくぽりの比定:колодецъ /kɐˈlodʲɪt͡s/。 投稿の注記: де /dʲe/ = ゼ zye cf.『北槎異聞』「井 コロシツ」 колодецъ の軟音 /dʲ/ をセ、語末 /t͡s/ をツで近似したものと解する。まくぽりの比較は井コロシツである。生森(1978:52)の対照表の活字はコロジツなので、引用する翻刻による清濁の差を残す。生森 1978, p. 52 | |||
橋(はし) | モラス もらすロシア語 | мостъ | 低 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098018973535424684語釈・考証まくぽりの比定:мостъ /most/。 投稿の注記: cf.『北槎異聞』「橋 モスト」 「モフス」「モウス」「モステ」の誤写か? мостъ「橋」は見出しに一致するが、ラと語末 /st/ の対応が難しい。投稿にあるモフス・モウス・モステは、確認済みの異本の読みとしては扱わない。морозъ /mɐˈros/「厳寒・霜」は音の比較対象になるものの、寒・家の交換に橋を加えても мостъ に当たる語が得られず、三項目の循環的な交換は成立しない。 | |||
5 | 土蔵(どざう) | アンハル あんはるロシア語 | амбаръ | 中 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098021974169809148語釈・考証まくぽりの比定:амбаръ /ɐmˈbar/。 投稿の注記: 穀物などをしまう倉。 амбаръ「穀倉・倉庫」。/b/ をハで表し、語末 /r/ にルを当てる。土蔵は日本側の建物分類による見出しなので、ロシア側の倉が土壁造りだったことまでは示さない。『北槎異聞』の倉バンバラは前置詞を含む в амбар と対照される。生森 1978, p. 56 | ninjal · 4 | |
大船(おほぶね) | カラビ からびロシア語 | корабль | 中 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098021974169809148語釈・考証まくぽりの比定:корабль /kɐˈrablʲ/。 корабль は船を表す名詞。語末の子音連続 /blʲ/ をビに圧縮して写した形と考えられる。大船という日本語見出しには対応するが、船種の詳細をこの語だけから決めることはできない。 | |||
浴室(ゆぶろ) | バンヤ ばんやロシア語 | баня | 中 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098021974169809148語釈・考証まくぽりの比定:баня /ˈbanʲə/。 баня は浴場・蒸し風呂を指す。辞書には、その施設で体を洗う行為を表す用法も載るため、隣の入湯バリヤを同じ語とみる意味上の条件はある。/nʲ/ をンヤで近似する。Грамота.ру 所収辞書「баня」 | |||
6–7 | 入湯(にうとう) | バリヤ ばりやロシア語 | 未解釈 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098021974169809148語釈・考証まくぽりは比定を保留している。 投稿の注記: 同じ баня「浴室・入浴」か?па́рить「蒸す」か まくぽりは баня /ˈbanʲə/ と па́рить /ˈparʲɪtʲ/ を比較し、語形の同定を保留する。баня には入浴行為の意味もあり、浴室バンヤとの重複自体は成立する。記録されたバンヤからバリヤならン・リの一字の差で、バニヤを中間形に立てる必要はない。 па́ря /ˈparʲə/ は парить の副動詞で「蒸しながら」、па́рю /ˈparʲʊ/ は一人称単数形。前者は音が近いが、入湯という見出しにこの形だけが採られた理由を要する。『北槎聞略』の湯浴にはバニヤパレツという複合的な記録もあり、浴場名と入浴動作を併せて答える可能性を考える材料になる。Грамота.ру 所収辞書「баня」 岩井 2020, p. 171「湯浴」 | ninjal · 4 | ||
佛像(ぶつざう) | ホシフ ほしふロシア語 | богъ | 低 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098044382415049003語釈・考証まくぽりの比定:богъ /box/。 投稿の注記: 「ホーフ」の誤写か?cf.『北槎聞略』「佛 ボーフ」 まくぽりは богъ /box/「神」と比定し、シを長音符の読み違いとするホーフの復元を提案する。『北槎聞略』の佛ボーフが比較材料となる。語末гの無声化した発音がこの語では /x/ となり、フで近似されるため、末尾を /f/ と解する必要はない。 日本側の佛という見出しは宗教上の対応づけで、仏教の仏像そのものを指すロシア語とは限らない。бож- 系を立てなくても、長音符の問題としてシを説明できるというのが投稿の要点である。岩井 2020, p. 181「佛」 | |||
| 服食 | |||||||
8 | 着類(きるい) | フラナ ふらなロシア語 | платье | 低 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098044382415049003語釈・考証まくぽりの比定:платье /ˈplatʲje/。 投稿の注記: платье「ドレス」古くは「衣服一般」 「フラチ」の誤写か? платье は衣服一般を指す語義を持つ。語頭 /pl/ はフラで近似できるが、ナと /tʲje/ の対応は残る。まくぽりのフラチという修正案を記録し、複数・属格の платья /ˈplatʲjə/ も比較対象とする。日本語側の末尾母音だけで単複や格は確定できない。 | ninjal · 4 | |
夏衣(なつごろも) | レツイイ れついゝロシア語 | лѣтній | 中 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098044382415049003語釈・考証まくぽりの比定:лѣтній /ˈlʲetʲnʲɪj/。 投稿の注記: лѣтній「夏の」、лѣтнее платье「夏の服」か лѣтній は男性単数の形容詞「夏の」。платье に一致させるなら中性の лѣтнее になる。したがって、夏衣を完全な句 лѣтнее платье と復元する案と、記録に近い形容詞 лѣтній を同定する作業は分ける。名詞の省略という考えは有力だが、省略された名詞自体は未確認。 | |||
冬衣(ふゆごろも) | シミノイ しみのいロシア語 | зимній | 中 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098044382415049003語釈・考証まくぽりの比定:зимній /ˈzʲimnʲɪj/。 投稿の注記: зимній「冬の」、зимнее платье「冬の服」か зимній は男性単数の形容詞「冬の」。中性名詞 платье に伴う形は зимнее となる。記録末尾ノイには зимней /ˈzʲimnʲɪj/ のような屈折形や文字の混乱も比較でき、仮名だけから文法的な性・格を一つに決めない。 | |||
1 | 襦袢(じゆばん) | ルバハ るばゝロシア語 | рубаха | 中 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098045393145893240語釈・考証まくぽりの比定:рубаха /rʊˈbaxə/。 投稿の注記: рубаха「シャツ」 рубаха「シャツ」。ロシア語 /x/ をハで表す。Невский(1936:44)も本附録の rubaha を容易に同定できる例として挙げている。襦袢という見出しは衣服の用途による対応で、和服の構造を持つことを示すものではない。Невский 1936, p. 44 | ninjal · 5 | |
合羽(かつぱ) | セネリ せねりロシア語 | шинель | 中 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098045393145893240語釈・考証まくぽりの比定:шинель /ʂɨˈnʲelʲ/。 投稿の注記: шинель「外套」 шинель「外套」。Невский(1936:44)も seneri を шинель とする。語末の軟子音 /lʲ/ がリに対応し、第一音節セの母音は現代標準音とは一致しない。合羽を防雨の衣服として理解した日本側の分類が見える。Невский 1936, p. 44 | |||
頭巾(づきん) | コバカ こばかロシア語 | колпакъ | 中 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098045393145893240語釈・考証まくぽりの比定:колпакъ /kɐlˈpak/。 投稿の注記: колпакъ「帽子・頭巾」 колпакъ「帽子・頭巾」。子音群 /lp/ の /l/ が写されず、/p/ がバとなった形を想定する。語末カは属格 колпака /kəlpɐˈka/ とも比較できるが、主格の /k/ に補助母音が付いた可能性もある。 | |||
2 | 米(こめ) | ビセナ びせなロシア語 | пшено | 中 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098045757391778250語釈・考証まくぽりの比定:пшено /pʂɨˈno/。 投稿の注記: пшено「キビのむき実」 cf.『漂海紀聞』「米 ヒセナ」 пшено はキビのむき実で、日本語見出し米との穀物分類にずれがある。投稿にある『漂海紀聞』の米ヒセナという比較は、この分類と転写の双方を検討する材料になる。主格 пшено の末尾оは強勢を持つため、ナを無強勢母音の弱化では説明できない。属格 пшена /pʂɨˈna/ は末尾のアと合うが、格を決める句の文脈は残っていない。 『漂海紀聞』のロシア語部分は木崎良平(1980)が検討している。木崎良平 1980『漂海紀聞』のロシア言語篇について 『北槎聞略』の米もビセナと記され、本項目の仮名と一致する。岩井 2020, p. 173「米」 | ninjal · 5 | |
麦(むぎ) | ムカ むかロシア語 | мука | 中 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098045757391778250語釈・考証まくぽりの比定:мука /mʊˈka/。 投稿の注記: мука「粉・小麦粉」 мука́「粉・小麦粉」。同じ綴りの му́ка /ˈmukə/「苦痛」とは強勢が違う。麦という見出しは原料と製粉物の関係による対応と考えられる。 | |||
蕎麦(そば) | ギリチフシナ ぎりちふしなロシア語 | гречушна | 中 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098064736692936910語釈・考証まくぽりの比定:гречушна /ɡrʲɪˈt͡ɕuʂnə/。 投稿の注記: гречихный「ソバの」の方言形 гречушнный гречушна каша「蕎麦粥」 まくぽりが掲げる гречушна を採る。СРНГ 7:138 の第1項 гречу́шный にはソバ製品を表す語義があり、女性形の語尾 -ая が -а に縮まったとみられる гречушна каша с маслом がペルミの用例として載る。語形と「蕎麦粥」という組み合わせに辞書上の裏づけがある。 辞書の見出しは гречушный(н は一つ)で、投稿の説明にある гречушнный との綴りの差を注記する。標準語には гречневый・гречишный がある。ここでは短語尾形の形容詞と断定せず、長語尾形 гречушная の語尾の縮約として検討する。この形容詞だけを採録した可能性はあるが、記録にない каша を本文に補わない。ギリチフシナのフは /u/ に対応する歴史的仮名表記として六月・七月とも比較でき、/f/ や /x/ を含む新しいロシア語形を作る必要はない。СРНГ 7, p. 138, 1. Гречушный, sense 2 Грамота.ру「гречушный」 | |||
3 | 粥(かゆ) | サラネイ さらねいロシア語 | солёный | 低 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098064736692936910語釈・考証まくぽりの比定:солёный /sɐˈlʲonɨj/。 投稿の注記: солёный「塩味の」か?cf. каша「粥」 солёная каша「塩味の粥」からか? солёный「塩味の・塩漬けの」というまくぽりの候補を採る。солёная каша の一部を切り取った可能性を指摘するが、каша に一致する女性形は солёная /sɐˈlʲonəjə/ で、男性形 солёный と同じ形ではない。記録のネイには形容詞の格形も比較でき、想定した句をそのまま原文に戻すことはできない。 蕎麦の гречушна と並ぶことは食物を形容する語が記録された可能性を支える。塩の項目はリヽ=соль と解されるので、粥と塩を相互交換して каша を得る関係にはならない。 | ninjal · 5 | |
酒(さけ) | ビナ びなロシア語 | вино | 中 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098065120740139284語釈・考証まくぽりの比定:вино /vʲɪˈno/。 вино はワインを中心に酒類を表す。語末の強勢оをナで写した理由は、ロシア語の無強勢母音の弱化だけでは説明できない。属格 вина /vʲɪˈna/ も比較でき、飲酒ヒナヒイの格の議論と関連する。 | |||
砂糖(さたう) | サハラ さはらロシア語 | сахаръ | 中 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098065120740139284語釈・考証まくぽりの比定:сахаръ /ˈsaxər/。 сахаръ「砂糖」。サハラは属格 сахара /ˈsaxərə/ にも近い。単語を物の量を示す句から採った可能性と、語末 /r/ の後に日本語の母音を補った可能性をともに残す。 | |||
4 | 茶(ちや) | チヤ ちやロシア語 | чай | 中 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098065120740139284語釈・考証まくぽりの比定:чай /t͡ɕaj/。 чай「茶」。/t͡ɕ/ をチヤで近似し、語末 /j/ を別のイで写していない。マイ=май のイと違う表記でも、半母音の有無を直接反映するとは限らない。 | ninjal · 5 | |
煙草(たばこ) | タンハコ たんはこロシア語 | табакъ | 中 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098065120740139284語釈・考証まくぽりの比定:табакъ /tɐˈbak/。 табакъ「煙草」。タンのンはロシア語の標準形に対応する音がなく、語中бもハで記される。日本語・アイヌ語にある煙草の名称との接触も検討し得るが、この項目だけで語形の混交や借用経路を決めない。 | |||
塩(しほ) | リヽ りゝロシア語 | соль | 中 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098065120740139284語釈・考証まくぽりの比定:соль /solʲ/。 投稿の注記: 「ソリ」の誤写か?cf.『北槎聞略』「塩 ソリ」 まくぽりはソリの誤写を想定し、соль と比定する。ヽを繰り返し記号として残した記録形リヽと、修正案ソリを分ける。『北槎聞略』の塩ソリは比較の根拠となるが、この版本でどの文字が誤ったかを直接示すものではない。岩井 2020, p. 152「塩」 | |||
5 | 大根(だいこん) | レーナカ れゑなかロシア語 | рѣдька | 低 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098065534923530546語釈・考証まくぽりの比定:рѣдька /ˈrʲetʲkə/。 投稿の注記: 「レーチカ」の誤写か рѣдька(редька)「ラディッシュ・大根類」。まくぽりのレーチカという修正案では、軟子音дと後続кの間の無声化をチで近似したと解せる。репка /ˈrʲepkə/「小さなカブ」も音の比較候補になるが、本項目の比定は投稿の рѣдька を保持する。 | ninjal · 5 | |
菜(な) | レイバ れいばロシア語 | рѣпа | 中 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098065534923530546語釈・考証まくぽりの比定:рѣпа /ˈrʲepə/。 投稿の注記: рѣпа「カブ」 рѣпа(репа)「カブ」。まくぽりの比定では、菜という広い日本語分類にカブが配される。隣の肴レバ=рыба と形が近いが、レイバのイとバをそれぞれ別の音節・有声子音とみなす必要はない。二つの項目を同じ魚の語とする根拠にはならない。 | |||
肴(さかな) | レバ ればロシア語 | рыба | 中 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098065534923530546語釈・考証まくぽりの比定:рыба /ˈrɨbə/。 投稿の注記: рыба「魚」 рыба「魚」。Невский(1936:44)も reba を рыба の例に挙げる。ロシア語 /ɨ/ がエ段で写される例で、仮名レから現代標準語の /e/ を逆算することはできない。Невский 1936, p. 44 | |||
6–7 | 飲酒(いんしゆ) | ヒナヒイ ひなひいロシア語 | вина пей | 中 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098066393434648827語釈・考証まくぽりの比定:вина пей /vʲɪˈna pʲej/。 投稿の注記: 「酒」の対格виноか生格винаか +пей「飲め」 投稿の主たる形は вина пей。вино を目的語とする вино пей「酒を飲め」では вино は対格である。вина を採る場合は、酒の一定量を表す部分的な属格として読むことができる。まくぽりの指摘どおり、動詞の目的語だから一律に属格とすることはできない。 пей は пить の命令形。酒ビナと同様、ヒナの末尾アは вина と音が合う一方、単独の転写から格を確定するには限界がある。語順・意味の対応が可能な二つの分析を併記し、投稿の形を保存する。 | ninjal · 5 | |
空腹(くうふく) | イシヲホタ いしをほたロシア語 | ѣсть охота | 中 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098066393434648827語釈・考証まくぽりの比定:ѣсть охота /jesʲtʲ ɐˈxotə/。 投稿の注記: ѣсть охота「食べたい」 ѣсть охота「食べたい」。ѣсть は不定詞「食べる」、охота は欲求を表す述語として用いられる。Невский(1936:44)は本附録の ishiwohota を挙げている。物や状態の名称を問うたところに、話者の欲求を述べる句が記録された例と理解できる。Невский 1936, p. 44 | |||
| 器財 | |||||||
8 | 腰物(こしのもの) | スバカ すばかロシア語 | шпага | 中 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098069852321890640語釈・考証まくぽりの比定:шпага /ˈʂpaɡə/。 投稿の注記: шпага「剣」 шпага「剣」。語頭の子音群 /ʂp/ に母音を補ってスバとし、/ɡ/ をカで記した形と解される。日本語の腰物という見出しは帯刀する武器の機能による分類。 | ninjal · 5 | |
脇差(わきざし) | サビラ さびらロシア語 | сабля | 中 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098069852321890640語釈・考証まくぽりの比定:сабля /ˈsablʲə/。 投稿の注記: сабля「サーベル」 сабля「サーベル」。/blʲ/ の子音連続をビラで近似する。脇差は日本側の相当物による訳で、ロシアのサーベルが脇差と同じ大きさ・構造であったことを示さない。 | |||
庖丁(はうてう) | ノセカ のせかロシア語 | ножикъ | 中 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098069852321890640語釈・考証まくぽりの比定:ножикъ /ˈnoʐɨk/。 投稿の注記: ножикъ「小刀」 ножикъ は нож の指小形「小刀」。/ʐ/ がセ、語末 /k/ がカで記される。属格 ножика /ˈnoʐɨkə/ も比較できるが、包丁という用途との対応と格の同定は別の問題である。 | |||
1 | 匙(さじ) | ロシカ ろしかロシア語 | ложка | 中 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098070046455234574語釈・考証まくぽりの比定:ложка /ˈloʂkə/。 ложка「匙」。綴りのжは後続の無声кの前で無声化し /ʂ/ となるので、シを直ちに清濁の誤記とする必要はない。 | ninjal · 6 | |
椀(わん) | シヤシン しやしんロシア語 | чаши | 中 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098070046455234574語釈・考証まくぽりの比定:чаши /ˈt͡ɕaʂɨ/。 чаши は чаша「杯・鉢」の主格複数、または属格単数として同じ綴りを取る。投稿では /ˈt͡ɕaʂɨ/ と比定する。末尾ンはこの語形に対応する音がなく、чашка /ˈt͡ɕaʂkə/「カップ」と比較してもンを説明するには文字の問題が残る。 | |||
煙管(きせる) | カンザ かんざロシア語 | ганза | 中 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098070046455234574語釈・考証まくぽりの比定:ганза /ɡɐnˈza/。 投稿の注記: ганза「煙管」。シベリアの語 ганза「煙管」はアニキンの語源辞典で確認できる。гамза́ III の項は、シベリア各地の異形と1700・1705・1743年の記録を挙げ、中国語 gangtzi(гǎньцзы)を起点として、シベリアの諸言語を介した伝播を論じる。単に現代の辞書から類音語を探した例より、採録地域・時代を検討できる材料が多い。 語源の経路には直接・間接の伝播があり、本附録の形だけで中国語・モンゴル語などのどれを直接の供与言語とするかは決められない。Аникин 2016, Русский этимологический словарь 10, p. 55, гамза III | |||