翻刻済
国立国語研究所 · 画像の利用条件 · IIIFマニフェスト
このコマの語彙項目 (20)
| 見出し | 語形 | 現代語形 | 典拠 |
|---|---|---|---|
| 五月 | マイ まい | май 中 | まくぽり, X, 2026-09-08, https://x.com/mkpoli/status/2097324828286189743語釈・考証まくぽりの比定:май /maj/。 май /maj/「五月」。音・意味ともによく一致する。イは独立したロシア語の音節を表すものではなく、語末の半母音 /j/ に対応する。 |
| 六月 | コフニ こふに | іюнь 低 | まくぽり, X, 2026-09-08, https://x.com/mkpoli/status/2097324828286189743語釈・考証まくぽりの比定:іюнь /iˈjunʲ/。 投稿の注記: Невский (1936:44) は ユフニ yufuni → yūni とする іюнь(июнь)/ɪˈjunʲ/「六月」。まくぽりはНевский(1936:44)の kofuni → yufuni(読み yūni)という修正を紹介する。コとユの文字の混同を想定する訂正案である。 フを現代ロシア語の /f/ と解すると語形に合わない。歴史的な仮名の母音表記として七月イフリと比較できる。Невский の修正を別本の外交的翻刻とみなさず、原文のコフニを残す。 |
| 七月 | イフリ いふり | іюль 中 | まくぽり, X, 2026-09-08, https://x.com/mkpoli/status/2097324828286189743語釈・考証まくぽりの比定:іюль /iˈjulʲ/。 іюль(июль)/ɪˈjulʲ/「七月」。まくぽりは ifuri → yūri と読む。六月コフニの訂正案ユフニと対になり、末尾ニとリがそれぞれ軟音 /nʲ/ と /lʲ/ に対応する。フはこのロシア語に独立した /f/ があることを示さない。 |
| 八月 | アヲス あをす | августъ 低 | まくぽり, X, 2026-09-08, https://x.com/mkpoli/status/2097324828286189743語釈・考証まくぽりの比定:августъ /ˈavɡʊst/。 投稿の注記: cf.『北槎異聞』「アウス」 アグス agusu か? августъ(август)/ˈavɡʊst/「八月」。まくぽりは『北槎異聞』のアウスを比較し、アグスという訂正の可能性も挙げる。子音群 /vɡ/ と語末 /st/ が大きく縮まった転写として理解できる。 比較資料にも短縮形があるため、アヲスの短さだけから『蝦夷語箋』の版刻の誤りと断定しない。ヲの文字形の問題と、採録された音の省略とは別に検討する必要がある。 |
| 九月 | センヲマフリ せんをまふり | сентябрь 低 | まくぽり, X, 2026-09-08, https://x.com/mkpoli/status/2097324828286189743語釈・考証まくぽりの比定:сентябрь /sʲenʲˈtʲabrʲ/。 投稿の注記: センチヤブリ sentyaburi か сентябрь /sʲɪnʲˈtʲabrʲ/「九月」。まくぽりはセンチヤブリを想定する。センと語末フリ、月名の配列が比定を支えるが、ヲマと /tʲa/ の対応は不規則。 仮名の訂正案は月名全体から遡って得た読みであり、ヲ→チ、マ→ヤを本附録全体に自動適用できる規則とはしない。 |
| 十月 | ヲキナヤフリ をきなやふり | октябрь 低 | まくぽり, X, 2026-09-08, https://x.com/mkpoli/status/2097324828286189743語釈・考証まくぽりの比定:октябрь /ɐkˈtʲabrʲ/。 投稿の注記: ヲキチヤブリ okityaburi か октябрь /ɐkˈtʲabrʲ/「十月」。まくぽりはヲキチヤブリを想定する。語頭 /ɐk/ と末尾 /brʲ/ に対応する部分があり、九月・十一月と並ぶ月名の列も同定を支える。語中ナは /tʲ/ に規則的に対応するとは考えにくく、チとの文字の混同が候補になる。 |
| 十一月 | ノマフリ のまふり | ноябрь 低 | まくぽり, X, 2026-09-08, https://x.com/mkpoli/status/2097324828286189743語釈・考証まくぽりの比定:ноябрь /nɐˈjabrʲ/。 投稿の注記: ノヤブリ noyaburi か ноябрь /nɐˈjabrʲ/「十一月」。まくぽりはノヤブリを想定する。マとヤ、清濁を区別しないフとブの問題を分ける必要がある。ノマフリという記録形を残し、推定したノヤブリを未確認の原形として扱う。 |
| 十二月 | ゼカフリ ぜかふり | декабрь 中 | まくぽり, X, 2026-09-08, https://x.com/mkpoli/status/2097324828286189743語釈・考証まくぽりの比定:декабрь /dʲeˈkabrʲ/。 投稿の注記: ゼカブリ zyekaburi か декабрь /dʲɪˈkabrʲ/「十二月」。まくぽりはゼカブリを想定する。ゼは軟子音дの聞き取り、フはбの無濁点表記、リは軟音рの近似として理解できる。九月から十二月に繰り返される語末フリの対応は、各項目を相互に比較する根拠になる。 |
| 道(みち) | トウロガ とうろが | дорога 中 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098017876884271264語釈・考証まくぽりの比定:дорога /dɐˈroɡə/。 дорога「道」。/d/ を清音ト、/r/ をラ行で近似する。トウのウをロシア語の独立した長母音とみなす根拠はなく、仮名の綴りと比定語の音節を区別する。生森(1978:52)の『北槎異聞』では通に дорога が対応する。生森 1978, p. 52 |
| 家(いへ) | シトジヨノ しとじよの | студёно 高 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098017876884271264語釈・考証まくぽりの比定:студёно /stuˈdʲono/。 投稿の注記: 前述の「寒(かん)」と入れ替わっている студёно /stʊˈdʲɵnə/ は寒さを述べる語で、家の意味を持たない。まくぽりが示した寒イツバ=изба との交換によって、双方の和訳を説明できる。ジョに近いジヨは軟子音 /dʲ/ と後続母音の近似と考えられる。 比較資料には『北槎異聞』の家イスバドマ(изба-дом)と、『北槎聞略』の寒に対応するシトヂャノがある。交換を認めても、その成立段階や、各資料間の直接の依存関係までは確定しない。生森 1978, p. 56 岩井 2020, p. 142「寒」 寒・家の入れ替えを示した投稿:まくぽり 2026-09-10、寒と家の入れ替え。 |
| 井戸(ゐど) | コロセツ ころせつ | колодецъ 中 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098018973535424684語釈・考証まくぽりの比定:колодецъ /kɐˈlodʲɪt͡s/。 投稿の注記: де /dʲe/ = ゼ zye cf.『北槎異聞』「井 コロシツ」 колодецъ の軟音 /dʲ/ をセ、語末 /t͡s/ をツで近似したものと解する。まくぽりの比較は井コロシツである。生森(1978:52)の対照表の活字はコロジツなので、引用する翻刻による清濁の差を残す。生森 1978, p. 52 |
| 橋(はし) | モラス もらす | мостъ 低 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098018973535424684語釈・考証まくぽりの比定:мостъ /most/。 投稿の注記: cf.『北槎異聞』「橋 モスト」 「モフス」「モウス」「モステ」の誤写か? мостъ「橋」は見出しに一致するが、ラと語末 /st/ の対応が難しい。投稿にあるモフス・モウス・モステは、確認済みの異本の読みとしては扱わない。морозъ /mɐˈros/「厳寒・霜」は音の比較対象になるものの、寒・家の交換に橋を加えても мостъ に当たる語が得られず、三項目の循環的な交換は成立しない。 |
| 土蔵(どざう) | アンハル あんはる | амбаръ 中 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098021974169809148語釈・考証まくぽりの比定:амбаръ /ɐmˈbar/。 投稿の注記: 穀物などをしまう倉。 амбаръ「穀倉・倉庫」。/b/ をハで表し、語末 /r/ にルを当てる。土蔵は日本側の建物分類による見出しなので、ロシア側の倉が土壁造りだったことまでは示さない。『北槎異聞』の倉バンバラは前置詞を含む в амбар と対照される。生森 1978, p. 56 |
| 大船(おほぶね) | カラビ からび | корабль 中 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098021974169809148語釈・考証まくぽりの比定:корабль /kɐˈrablʲ/。 корабль は船を表す名詞。語末の子音連続 /blʲ/ をビに圧縮して写した形と考えられる。大船という日本語見出しには対応するが、船種の詳細をこの語だけから決めることはできない。 |
| 浴室(ゆぶろ) | バンヤ ばんや | баня 中 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098021974169809148語釈・考証まくぽりの比定:баня /ˈbanʲə/。 баня は浴場・蒸し風呂を指す。辞書には、その施設で体を洗う行為を表す用法も載るため、隣の入湯バリヤを同じ語とみる意味上の条件はある。/nʲ/ をンヤで近似する。Грамота.ру 所収辞書「баня」 |
| 入湯(にうとう) | バリヤ ばりや | 未解釈 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098021974169809148語釈・考証まくぽりは比定を保留している。 投稿の注記: 同じ баня「浴室・入浴」か?па́рить「蒸す」か まくぽりは баня /ˈbanʲə/ と па́рить /ˈparʲɪtʲ/ を比較し、語形の同定を保留する。баня には入浴行為の意味もあり、浴室バンヤとの重複自体は成立する。記録されたバンヤからバリヤならン・リの一字の差で、バニヤを中間形に立てる必要はない。 па́ря /ˈparʲə/ は парить の副動詞で「蒸しながら」、па́рю /ˈparʲʊ/ は一人称単数形。前者は音が近いが、入湯という見出しにこの形だけが採られた理由を要する。『北槎聞略』の湯浴にはバニヤパレツという複合的な記録もあり、浴場名と入浴動作を併せて答える可能性を考える材料になる。Грамота.ру 所収辞書「баня」 岩井 2020, p. 171「湯浴」 |
| 佛像(ぶつざう) | ホシフ ほしふ | богъ 低 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098044382415049003語釈・考証まくぽりの比定:богъ /box/。 投稿の注記: 「ホーフ」の誤写か?cf.『北槎聞略』「佛 ボーフ」 まくぽりは богъ /box/「神」と比定し、シを長音符の読み違いとするホーフの復元を提案する。『北槎聞略』の佛ボーフが比較材料となる。語末гの無声化した発音がこの語では /x/ となり、フで近似されるため、末尾を /f/ と解する必要はない。 日本側の佛という見出しは宗教上の対応づけで、仏教の仏像そのものを指すロシア語とは限らない。бож- 系を立てなくても、長音符の問題としてシを説明できるというのが投稿の要点である。岩井 2020, p. 181「佛」 |
| 着類(きるい) | フラナ ふらな | платье 低 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098044382415049003語釈・考証まくぽりの比定:платье /ˈplatʲje/。 投稿の注記: платье「ドレス」古くは「衣服一般」 「フラチ」の誤写か? платье は衣服一般を指す語義を持つ。語頭 /pl/ はフラで近似できるが、ナと /tʲje/ の対応は残る。まくぽりのフラチという修正案を記録し、複数・属格の платья /ˈplatʲjə/ も比較対象とする。日本語側の末尾母音だけで単複や格は確定できない。 |
| 夏衣(なつごろも) | レツイイ れついゝ | лѣтній 中 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098044382415049003語釈・考証まくぽりの比定:лѣтній /ˈlʲetʲnʲɪj/。 投稿の注記: лѣтній「夏の」、лѣтнее платье「夏の服」か лѣтній は男性単数の形容詞「夏の」。платье に一致させるなら中性の лѣтнее になる。したがって、夏衣を完全な句 лѣтнее платье と復元する案と、記録に近い形容詞 лѣтній を同定する作業は分ける。名詞の省略という考えは有力だが、省略された名詞自体は未確認。 |
| 冬衣(ふゆごろも) | シミノイ しみのい | зимній 中 | まくぽり, X, 2026-09-10, https://x.com/mkpoli/status/2098044382415049003語釈・考証まくぽりの比定:зимній /ˈzʲimnʲɪj/。 投稿の注記: зимній「冬の」、зимнее платье「冬の服」か зимній は男性単数の形容詞「冬の」。中性名詞 платье に伴う形は зимнее となる。記録末尾ノイには зимней /ˈzʲimnʲɪj/ のような屈折形や文字の混乱も比較でき、仮名だけから文法的な性・格を一つに決めない。 |