Aynuitak Huskokampi Aomarepu アイヌ語古記録データベース Early Records Database of the Ainu Language

蝦夷方言藻汐草 第37コマ

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Wereldmuseum Leiden

第37コマ 未着手

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国立国語研究所 乾巻

第70コマ 見開きの右頁に対応 翻刻済

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返報 ヱモンタシヤ▲イタシヤイタク

退屈 ケウヱチヤリ

待遠しい ヲタシヽカ▲ヤイシヤカンケ

馬鹿をいふ キロランテ

恩愛深く中が能い ウシツカラハレ

足をかゞむ チキリコモ

膝をつく クブセヤ

美服をする ヱシユイナ▲シユーク

配る コバルリ

太刀をはく ヱモシムツテ

互に モイリ▲ウタシバ

赦免 ヱシユラウン

心安い ランバシコル

さし詰ツマる ヲイタクシヤク

むつとして居 シラホロレー

国立国語研究所 乾巻

第71コマ 見開きの左頁に対応 翻刻済

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返事しろ ヱーセ

戸を開ける アバシヤラ▲アバビラシバ▲アバマカ

海を渉る アツ゚イウイカヲホチシテ

両の手にてさらふ 掬也 ウツ゚レンテツコル

浪音を聞く コイシヤヽヽシフム▲コイフミスー【ヌー?】

渡海する アツ゚イコル

同道 シネライ

月代 メムケ

礫ツブテうつ ヤプキリ

泣ナく チシ

海辺を行 ルツシヤマカリバイ

     ヲタシヤムカリバイ

制度 ハプト▲ウコユルシカ

村継 ウイテセシバ

声が能い グチアシカイ

このコマの語彙項目 (30)

国立国語研究所 乾巻 70・国立国語研究所 乾巻 71の翻刻による

見出し語形現代語形典拠
返報ヱモンタシヤ ▲イタシヤイタク 低機械読解イモンタサ平山裕人 2013 第3部 エモンタシヤ「① 返報;② 復讐 (imontasa)」(②はバチェラー辞典による)
退屈ケウヱチヤリ 推定機械読解ケウェチャリBatchelor 1938 Kewechari 追い散らす
待遠しいヲタシヽカ ▲ヤイシヤカンケ 推定機械読解オタシㇱカBatchelor 1938 Otashish 帰りたがる; 平山裕人 2013 第3部 オタンカ 待ち遠しい
馬鹿をいふキロランテ 推定機械読解キロランテ平山裕人 2013 第3部 キロランテ¹ 馬鹿をいふ; Batchelor 1938 Kiro'ran 強い、喜ぶ
恩愛深く中が能いウシツカラハレ 推定機械読解ウシッカラパレ平山裕人 2013 第3部 ウシツカラハレ 恩愛深く仲がよい
足をかゞむチキリコモ 推定チキㇼ コモ田村すず子 1996 cikir 足, komo …を折り曲げる; 萱野茂 1996 komo 曲げる; Batchelor 1938 Komo 引キ入ル, p.264
膝をつくクブセヤ 推定機械読解クプセヤ平山裕人 2013 第3部 クㇷ゚セヤ 膝をつく
美服をするヱシユイナ ▲シユーク 中機械読解・辞書照合済エシユㇰ平山裕人 2013 第3部 エシユイナ「① 美服(ひふく—白浜注)をする;② (〜で)装 う(エシユク)」(②は萱野辞典による); 萱野茂 1996 esiyuk「(〜で)装う.…」
配るコバルリ 推定機械読解コパルリ平山裕人 2013 第3部 コバルリ 配る
太刀をはくヱモシムツテ 低エムㇱムッ萱野茂 1996 emusmut「刀を肩から下げる(腰から下げるのとは違う).」, mut「(腰に)差す.…」; 田村すず子 1996 mut「(刀)を佩く(はく)、 (刀)を身につける。…」; 富田隆 2021 emusmut「刀を肩から下げる」; Batchelor 1938 Emush「n. A sword. As:—Amut emushi anochautekka, “I drew the sword I wore,” (used in legends). Emush-ahunge, “to sheathe a swor…」, p.116, and Mut, p.308; 太田満 2022 かたな(刀); 平山裕人 2013 エモシムツテ.
互にモイリ ▲ウタシバ 推定機械読解モイリ平山裕人 2013 第3部 モイリ 互いに
赦免ヱシユラウン 低機械読解・辞書照合済エスラ ウン田村すず子 1996 sura ほうっておきなさい; un 強意終助詞
心安いランバシコル 低機械読解ランパㇱコロ平山裕人 2013 第3部 ランバシコル「① 心安い;② 沈着ナル (rampashkoro)」(②はバチェラー辞典による)
さし詰(ツマ)るヲイタクシヤク 中機械読解・辞書照合済オイタㇰサㇰ田村すず子 1996 oytaksak 言い返す言葉がない; Batchelor 1938 Oitak-sak 免ヲ願フ、言ヒ違フ
むつとして居シラホロレー 推定機械読解シランポロレBatchelor 1938 p.463 Shiramborore「v.t. To sit still in a dejected manner. To be stubborn.」; 平山裕人 2013 第3部 シラホロレー「① むっとして居る;②」
返事しろヱーセ 中エセ田村すず子 1996 ése「承諾の返事をする。…」; 萱野茂 1996 ese「返事をする,答える,納得する,承知する.…」; 中川裕 1995 ese「承諾する ; <e「はい」se「〜と言う」。…」, p.101; Batchelor 1938 Ese「v.t. To answer. As:—Ese wa ene itak-hi, "he answered and spoke thus."」, p.131.
戸を開けるアバシヤラ ▲アバビラシバ ▲アバマカ 低機械読解アパチャラ平山裕人 2013 第3部 アパシヤラ「① 戸を開ける;② 戸口(apachara)」(②はバチェラー辞典による)
海を渉るアツ゚イウイカヲホチシテ 推定機械読解アト゚イ ウイカ オ ホチンテ平山裕人 2013 第3部 アトゥイウイカヲオチンテ「① 海を渉る;② 海を渡る(アトゥイトゥモトイェ)」; 田村すず子 1996 atuy「海。…」; ika「ものの上。… / …しないように。… / ①[自動]近道する、 あふれる。…」
両の手にてさらふ 掬也ウツ゚レンテツコル 推定機械読解・辞書照合済ウト゚レン テㇰ コㇿBatchelor 1938 Uturen「adj. Both. As:—Uturen chikiri, “both legs.” Uturen shiki, “both eyes.”」, Tekkoro「v.t. To have in the hands. To grasp.」
浪音を聞くコイシヤヽヽシフム ▲
コイフミヌー校訂
原文:コイフミスー〔ママ〕
校訂理由

原文はコイフミスー〔ママ〕。「浪音を聞く」の語義に基づき、原本のスをヌと推定して校訂。田村すず子1996『アイヌ語沙流方言辞典』s.v. koy「波」、hum(所属形humi)「音」、nu「聞く」により、koy humi nuと解釈する。末尾の長音符は保つ。

中機械読解・辞書照合済コイ サㇱ フㇺBatchelor 1938 Koi 海波; Sash 轟く音、波の轟音; Humi 音
渡海するアツ゚イコル 中機械読解・辞書照合済アト゚イ コㇿBatchelor 1938 Atui-koro「v.i. To go to sea. To go a voyage.」
同道シネライ 中機械読解・辞書照合済シネライェ平山裕人 2013 第3部 シ𛄧ライ「① かつぐ;② / ① 同道;② どうせなら(シネライェ)」(②は萱野辞典による); 萱野茂 1996 sineraye「どうせなら,ひとまず:後のことはともかく.」
月代メムケ 低メㇺケ萱野茂 1996 memke「剃る,刈る.…」; Batchelor 1938 Memke「v.t. To shave.」, p.296; 平山裕人 2013 メムケ.
礫(ツブテ)うつヤプキリ 中ヤㇷ゚キㇼ田村すず子 1996 yapkir「投げる。…」; 田村すず子 1996 eyapkir「…を投げる、 …を投げ飛ばす(遠くへ、 どこへ投げるかわからないときに言う)。…」; 萱野茂 1996 yapkir「投げ捨てる.」; 平山裕人 2013 ヤプキリ「① 礫 (※つぶて) うつ;② 投げ捨てる (ヤㇷ゚キリ)」; 知里幸恵, アイヌ神謡集『シマフクロウの神が自らをうたった謡「シロカニペ ランラン ピㇱカン」』(幌別, 1923).
泣(ナ)くチシ 中チㇱ田村すず子 1996 cis「泣く。…」; 萱野茂 1996 cis「泣く.… / 岩.」; Batchelor 1938 Chish「v.i. To cry. To weep. To sing (as a bird). As:—Chish hawe, “a weeping”; “a crying,” or “wailing.” Chish koro, “weeping,”… / n. A steep winding path. A precipitous path. Syn: Chikaye-chish. Ekaye-chish. Nangashke. Wen-shiri.」, p.90.
海辺を行ルツシヤマカリバイ 低機械読解・辞書照合済ルッ サㇺ カリ パイェBatchelor 1938 Rut 海氷; 田村すず子 1996 sam そば; kari …を通って; paye 行く(複)
海辺を行ヲタシヤムカリバイ 推定機械読解・辞書照合済オタ サㇺ カリ パイェBatchelor 1938 Otasam「n. The sea-shore.」; 田村すず子 1996 kari「(経由する所を示す。… / を回す。… / ①回る。…」, paye「(単は arpa アㇻパ) ①(二人以上が)行く。…」
制度ハプト ▲ウコユルシカ 推定機械読解ハㇷ゚ト平山裕人 2013 第3部 ハプト 制度; Batchelor 1938 Hatto-an 禁じたる
村継ウイテセシバ 推定機械読解ウイテセシパ平山裕人 2013 第4部 村継([藻]ウイテセシバ…285頁)
声が能いグチアシカイ 中クチ アㇱカイ知里真志保 1987 人間篇 kuci askay「クチ アㇱカイ §310.…」, §310 (edition not independently verified); 田村すず子 1996 kuci「クチ / (概は kut クッ) …ののど(歌う声)。…」; 平山裕人 2013 グチアシカイ「① 声がよい;② 〈人間〉声がよい(kuchi askay)」; 藤田護 2018, p.44, notebook p.17, colophon p.65; 金成マツ, 千葉大学大学院人文公共学府研究プロジェクト報告書『金成マツ筆録ノートの口承文学テクストの原文対訳及び解釈:散文説話「六人の山子(iwan yamanko)」』(幌別, 2018).