2眺めをははかり侍りて
3花たうて
4登り飽たる
5山路哉
6謹書
2 図
3女夷七八歳の頃より砂地に
4出て衣服の文繍をも習ふ
5凡女児は腰に細き緒を
6まとふこと六重賤しきものは
7三重まとふなり
2張金銀具鋲如図裏は鎚板金なる是
3蝦夷第一品の神器とす古昔甲革の
4器なるべし呼造曲中にも造鳥神()天より
5降給ふ事をうたひ伝ふ家にありては
6不浄の事もあらんとて浄地を択み一
7宇を建て安置す亦山林幽谷の空
8洞にも秘蔵す宝暦新歳四月
9の丘より数枚堀出せり革
10鋏は朽て鋲のみ存し首長
11蔵す
2布帛紙なき故に木を削りかけにして
3幣にかゆる本邦の大古もかくせしにや今
4正月十五日削り花をかくる其遺製なるへし
5按するには稲穂の語なるべし
6御初穂と云も亦同意なりと言
7木ありて造る処もありまた柳も用ゆ
8種々製し方あり葬祭の時は逆
9木を以て作る
2夷地首長等庁に
3上る時大サ七尋半
4許なる舟を作り
5に来るを
6といふ按するに
7初てまみゆるの訓
8なるべし又
9辺の首長 猟虎(ラツコ)
10岐(シマ)にいたる時も此図のことく
11舟を飾而調之行也
12舳() 一曰
14表()
15名マチ
16航()
17縁()
18艫一曰ウモロ
2造製遠近処々にて
3少違あり形状亦
4然り木を彫て抵と
5なし木の皮にて板を
6とじ付水の入ざる
7様にとじ合せ目に苔
8をつむるなり
2帆
4一曰
5走舟
91弓()矢()靭()図 鏃は熊笹の本を以製す烏頭を搗爛し如図
2ぬりて魚獣の肉中に射込は忽然として斃る
3本草烏頭の条下に曰にて毒箭を用
4ゆるよし按するにより製伝るか
6絃
7一曰
9 鹿角ヲ以製
11桜皮()ニテ
12巻タリ
13靭を婦人の
14宝器と
15称す
16曰
17あさましや
18の
19ゑその
20つくる
21なる
22毒気の
23矢こそ
24ひまは
25あるけれ
26云毒気の矢とは
27おくのえひすは鳥の羽根の
28くきに附子といふどくをぬりて
29甲のあきまをはかりてゐると
30いへり附子矢といふは是也
31夷名
32近在といへり
33弓材也迄は
34一位の木といふ
35笏に製す
36一曰あらら木
2合せて作る兜は夷製の物を見す本邦器を用ゆ戦争の時は
3礼法もあるよし軍をと云挑の訓略なるべし
4一首長甲冑拾余を蔵す其中に異鎧
5壱領あり閲するに緋縅と見ゆ其製古様殆類ひなき美
6製次年画人の写今様打掛鎧の図を
7見せて云是延喜兵庫寮の記に所載打かけ鎧の図なり今は
8絶てなしとなん右の異鐘類年を経し故に破損多しと
9いへとも古の打かけ鎧なり蝦夷鎧は打かけ鑓の状を伝て
10夷製すと見へたり
2塞の名なるか其所の首長
3たる者何れも営造す
4の名を按るにサシの訛語成
5へし
6条下云とあり
7其外にも(サシ)(サシ)何を
8も守麗の城(サシ)をサシと
9いふ又と云も
10皇城の堅固をいへる名
11なるべし
12古へ木をさして兵を防くの
13意より城の訓とはなり
14たるならん
2地名首長と云むかし神在て
3此所の海に釣し大なる比目魚得給ひ夷
4等に教曰此魚は神也我是を山に祭ん
5此後此山のみ比目魚の形したる残雪有
6べし其時汝等此海に漁せは多く比目魚を
7得て糧と成んと云給ひしに今に至りて
8神の言の如し故に旧と云
9しを転訛して今といふ
10は雪の称は比目魚の訓也
2網(ヤ) |
3魚坪()
2春彼岸より四月頃まて漁る
3何地よりも多産せり
4西夷地の鯡長大にして上品也
5四十尾を繋き一把とし背肉を
6切り脯日欠(ヒカケ)ニテに製す数の子其中
7より得る生肉は和らかにして
8味あしし此島の民鯡昆布を
9採るを業とし農事を知ら
10さるに似たり
2八月十五日まて採れり
3曰
4蝦夷第三等
5等言親族死亡孫_レ子
6数人常恐被狄徒抄略乎請於
7造建郡家為編戸民
8永保安堵又蝦夷
9等言先祖以来貢献昆
10布常扶此地年時不闕今国府
11郭下相去道遠後還累旬志多
12辛苦請於使建部家同
13於百姓共率親族永不闕
14貢並許之
2より東海浜にて産
3せり長さ丈三四尺幅五六寸
4紅黄緑色採■て清浄の
5地を撰み乾す五十枚を一把
6としまた其上を昆布にて
7包み十六所結庁に奉る是
8昆布の絶品とす
9一昆布は東海に
10産す長七尋余幅壱尺
11三四寸緑色味甘美此昆布は
12に送る
13一菓子昆布色黒緑長壱尺
14はかり味至て甘美
15より海底に産す
16一夷地
17より出る品長七尋余幅三
18四寸緑色此外処々より産す
19雑品なり
2初秋より河に登り川岸に至れは河
3水■し雌魚尾をもつて河底を掃
4卵を放せは雄魚しら子をかくる如
5粘にして魚卵河底に付
6流るることなしいかなる
7激流といへども魚の
8登ざる河なし故に
9所によりて魚の
10余多登るゆへに
11洪水する事有
12来春雪解に
13水と共に急卵
14魚となりて大洋
15に至る其河より
16生たる魚他の
17河へ登ること
18なしと云
2深山幽谷激流の
3傍に小屋を建て
4中へ夜の中に入如図
5繋置魚のはねるを
6見て鷲来りとらんと
7する所を五尺計り
8なる杖の先に鍵を
9付置鷲の趾をかけ
10獲る事也至てひそ
11かに忍ひ居ざれは
12うることかたし
13権僧正
14みちのくのえぞか
15ちしまの
16鷲の羽に
17妙なるのりの
18文字も
19ありけり
2山林曠野の中に弩のことくなる
3弓を掛置諸獣を躰(イ)獲る其
4獣の大小によりて矢の高さを手
5束にはかり懸置ぬ張る所の
6糸にさわれは毒矢発
7出す其矢獣に当れば
8たち処に斃るアマは
9置事をいふクワは
10弓なり
11かけ置処には
12必木に木幣を立て
13人の当らざるしるし
14とす
2竜海人取其腎以充膃肭臍其物自別真
3者有一対則両重薄皮裹丸按其皮上自
4有肉黄毛二穴三茎収之器中年々湿潤
5如新或置睡天頭上其天忽驚跳若狂
6者為真也曰按云骨𧰹獣出
7及云膃肭臍出女直
8及獣似狐脚高如矢走如飛
9取其腎清油名膃肭臍観之則似狐之
10説非無也蓋似狐似鹿者其毛色爾似
11狗者其足形也似魚者其尾形也入薬
12用外腎而曰臍者連臍取之也又
13豽獣出似貍蒼黒色無前両足
14能捕鼠曰晋時獲一
15獣似狗豿文有角両脚拠此則豽有水陸二
16種而所謂似狐長尾者其此類与
2月より春三月四月比まて夷に命してとらしむる此
3漁事よくするものをテハ蝦夷といえり其比に至は
4物着くさくさなして舟を清浄め木幣神酒を製
5して海神舟神を祭る膃肭方名といふ雌
6をといふ大サ三四尺余亦一種といふ
7品あり大サ五尺計より六七尺二種ともに牙ありて
8上は支歯也波に浮たる状図のことし西地に
9いつる所尾鰭少し■もあり空おたやかに波静
10なる日をうかかひて漁事に出るあとて物音を禁し
11家の婦女等食事さへひそかにせされは彼
12もの驚して眼をさますとぞ捕獲て帰れば窓より
13入るる其外漁事具出し入までもかく窓よりせされ
14ば獲かたしとなむ
2出せは米衣服
3烟草をあたふる
2海狗腎 鹹大熱無毒
3斆曰用酒浸一日紙裹炙香剉搗或於銀器中以
4酒肉熟合薬
5曰以■椒樟脳同収則不懐
6治男子■病気塊積冷労気腎精衰損
7多色成労瘦粋
2蔓草なり蘿摩の同類別種
3花実葉蔓相似たり実は三稜
4にして三四実ツツ房をなす蘿
5摩より綿少し根図の如し
6炮り食ふに味甘美また乾製
7して末となし金瘡に粘す血
8をとむること神功辺の
9土俗伝へて言馬の病に用ひて
10効ある故 生馬()の名ありと
2蟹の名なり渓澗微流に
3多産す水中へ味噌を投す
4れは石間より群し出て是を
5喰ふ捕得て炮りくろふに
6其味美夏月土用の中に此蟹を
7得て頭中を破り大豆計りの
8かたき石を得る即紅毛人持
9来るヲタリカンキリなるもの
10是なり小便閉に用て
11奇効あり
12方言さりかにといふ捕
13得て地上に置けはあとへ〳〵と
14却退する故に
15名ありと云々
2全体黒色豹紋白明なるを
3鼈甲班とて最上とす炭色
4の品多し一種全身に大水
5字の文理あり何れも
6有西夷地海辺に
7産せり
8曰仏師仏工
9料におくる七間々中径水
10豹皮六十枚とあり
11一トトと云海獣あり大さ
12丈にあまる色頭如鼠を
13よし皮を綱に製し用るに
14切るることなし油は灯に用ひ
15肉の味鯨肉の甘美なり
16全物見されは図を
17出さす
2奥夷地何処にもあり大さ
3如家鴨イトとは鼻の称ヒル
4カとは善といへる語なりネカ
5ツブは鳥の通称地名
6群島にわたれは木の生せさ
7る島あり其所にて此鳥
8を捕て骨を焼て肉を
9煮て食ふと言
2此草平原曠野に繁茂す嘗試
3するに其味微甘鹹夷人根を採りて
4米位のことく剉き蒸熟して麹となし
5又別に一種煮熟したるを製して麹
6と合して酒を造る其味本邦の濁
7酒にひとしく酔を発するも亦異ることなし
2全体五道あり写生の
3如し曰く石虎に
4似り或曰曰華
5錦鼠ともいへり
2よろずいろ〳〵
2声〳〵に
3されよ〳〵と云
4辺積
5雪にいたれは童男
6女坂ある所に集り
7如図深雪の坂より
8すへり下る事を
9遊楽とす
2然も衣服は又は図の如くさしたるも有又は白木
3綿の服を着するもあり前垂布の紐を広くして帯
4の代ともせり
2春夏鯡昆布を採る事を
3業として農事はしらさる
4に似たり女子畑を耕して
5粟蕎麦大豆なと播植して
6食糧す
2氏神の傍より桶二十二躯堀出す
3往古の器と見ゆ地名夷
4云此神体は裘を着し
5たる形なり地名の丘より
6も堀出せし事もあり形すこし
7異といへとも髪衣服類の文
8理かくのことし按するに女像なり
9眼口のあたりに点刺するは今の
10文身髪を組て頭上に結ひし
11形なりと
12一蝦夷子なき者神に祈りて子を
13生すれは生長の後髪を切らず
14三組にして垂置ぬ名を
15と云
16地名夷夷地
17地名夷
18夷地神髪なり此外処々
19にあり按るに是大古の
20断裁の器無き時は
21乱垂となるをいと
22ひ三組とせし
23なるべし裘は
24袋の如く製し
25裾よりかふりて
26此を着す此
27服近夷地には
28絶てなし奥
29夷地には婦女の服とす密会邪淫を
30いましむる為なりと云此土偶は蓋し
31初の婦妾の代りに墳墓に埋しならん
2薨十一月丙申朔丁酉葬于於是集近
3習者悉生而埋立於陵城数日不死昼夜泣吟遂死而爛臰之犬
4烏聚噉焉天皇聞此泣吟之声心有悲傷詔羣卿曰夫以生所愛令
5殉已者是甚傷矣其雖古風之非良何従自今以後議之止殉
6同卅二年秋七月甲戌朔己卯皇后一曰日葉酢根尊薨臨葬
7有日焉天皇詔群卿曰従死之道前知不可命此行之葬奈之為何
8於是進曰夫君王陵墓埋立生人是不■也豈得伝
9後葉乎願今将議使事而奏之則使者喚上之土部壱伯
10人自領土部等取埴以造作人馬及種種物形献于天皇曰自今
11以後以是土物交易生人樹於陵墓為後葉之法則天皇於是大
12喜之詔曰汝之使議寔洽朕心則其土物始立于
13之墓仍号是土物語垣輪亦名立物也仍下令曰自今以後
14陵墓必樹是土物無傷人焉天皇厚賞之功亦賜鍜
15地即任土部職因改本性謂等之始祖也
16地名肖像
2島に産する狐なり
3毛色淡黒なり
4曰
5国司等
6所献黒狐即合上瑞国
7司自已上追位階
2と云所に
3柱石あり其
4内に夷鎧の形を
5なしたるあり
6伝へ云
7ぬぎ置給ひし
8鎧化して石となると
9甚奇異本邦の
10なき処なり
2侯よりも守護の士いたらざりしに
3夏 なる者独立して
4渡る島夷本邦人をはじめてみるに群集
5せりといふ風俗太古を存し人質如神草を
6編て服とし鳥獣の皮を裘となして寒
7を凌く冬は氷海となりて寒気甚し
2二十里にあり往年始て
3此島に渡り地図を製
4島島の夷初夏より
5此島に渡りて猟虎の音によりて諸人文字を製
6を獲る大さ六七尺毛厚くして
7縦横上下のわかちなく色紫黒
8席皮の上品とす
9猟虎海上に浮む
10時は腹を上にして
11浮游なり
12岐岩にも
13登ると云
2妾従僕四十人はかり住居す其肖像を写于此
2島の極を当す者なし明和年間
3臣を遣して五十有余里を順島せし
4む夫よりに館を建て鎮護す享
5和改元年信濃守奉
6台令西夷地を回り属吏
7に命して南北二百余里の地理を■しむ
8古より人共にに来り
9持渡る錦玉煙管の種々獺狐狸鹿の
10皮と交易す煙管には満文を刻す漢文
11字を記したるもあり錦はにて
12製せるをに渡来すの
13と織入しを予蔵せり初め此島の
14夷と共にに来り服を
15着したり唐人と云しより島名となり
16たるかより西百里にと云
17所あり是此島の名なるよし首
18長かたれり
19一風俗も蝦夷とは少し異り服も蕁麻
20糸にて織り文鋪如図冬春は穴居し土
21隅埴物を製し用ゆまた家々犬を
22飼ふ児犬の時陰嚢をぬく玉を抜取
23育つれは後勇猛多力にして舟を引
24亦雪中車を牽く雌犬に交合の気を発せす
2ホロコタン一名
2居なから異域のを知ることこれ歌人の性には
3あらねと此書を買するに甚面白くされは
4???下の秘せる所なるを乞得て写し得ること
5形のことく冊なりて亦序をに
6ねたりてもつて願素の一物とはなしむる
7時に嘉永の丑とし弥生中旬
8蔵