Aynuitak Huskokampi Aomarepu アイヌ語古記録データベース Early Records Database of the Ainu Language

蝦夷島奇観

えぞとう きかん · Ezotō kikan · 秦檍丸 · 図絵 · 目録レコード

所蔵本 北海道大学附属図書館 52コマ中52コマ翻刻済
凡例

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11蝦夷奇観

21拙画の永きに諸君子の

2眺めをははかり侍りて

3花たうて

4登り飽たる

5山路哉

6謹書

31女児  衣服   文造

2  

3女夷七八歳の頃より砂地に

4出て衣服の文繍をも習ふ

5凡女児は腰に細き緒を

6まとふこと六重賤しきものは

7三重まとふなり

41曰鍬先大サ一尺五寸表は革を

2張金銀具鋲如図裏は鎚板金なる是

3蝦夷第一品の神器とす古昔甲革の

4器なるべし呼造曲中にも造鳥神()天より

5降給ふ事をうたひ伝ふ家にありては

6不浄の事もあらんとて浄地を択み一

7宇を建て安置す亦山林幽谷の空

8洞にも秘蔵す宝暦新歳四月

9の丘より数枚堀出せり革

10鋏は朽て鋲のみ存し首長

11蔵す

51とは幣帛の心にて神に奉る夷地には

2布帛紙なき故に木を削りかけにして

3幣にかゆる本邦の大古もかくせしにや今

4正月十五日削り花をかくる其遺製なるへし

5按するには稲穂の語なるべし

6御初穂と云も亦同意なりと言

7木ありて造る処もありまた柳も用ゆ

8種々製し方あり葬祭の時は逆

9木を以て作る

61大船図

2夷地首長等庁に

3上る時大サ七尋半

4許なる舟を作り

5に来るを

6といふ按するに

7初てまみゆるの訓

8なるべし又

9辺の首長 猟虎(ラツコ)

10岐(シマ)にいたる時も此図のことく

11舟を飾而調之行也

12舳() 一曰

13

14表(

15名マチ

16航() 

17縁(

18一曰ウモロ

19

71舟図

2造製遠近処々にて

3少違あり形状亦

4然り木を彫て抵と

5なし木の皮にて板を

6とじ付水の入ざる

7様にとじ合せ目に苔

8をつむるなり

81船具図

2

3

4一曰

5走舟

91弓()矢()靭()図 鏃は熊笹の本を以製す烏頭を搗爛し如図

2ぬりて魚獣の肉中に射込は忽然として斃る

3本草烏頭の条下に曰にて毒箭を用

4ゆるよし按するにより製伝るか

5

6

7一曰

8

9 鹿角ヲ以製

10

11桜皮()ニテ

12巻タリ

13靭を婦人の

14宝器と

15称す

16

17あさましや

18

19ゑその

20つくる

21なる

22毒気の

23矢こそ

24ひまは

25あるけれ

26云毒気の矢とは

27おくのえひすは鳥の羽根の

28くきに附子といふどくをぬりて

29甲のあきまをはかりてゐると

30いへり附子矢といふは是也

31夷名

32近在といへり

33弓材也迄は

34一位の木といふ

35笏に製す

36一曰あら

101夷鎧の名なり按るに危き器と云訓なるべしれい木と皮を

2合せて作る兜は夷製の物を見す本邦器を用ゆ戦争の時は

3礼法もあるよし軍をと云挑の訓略なるべし

4首長甲冑拾余を蔵す其中に異鎧

5壱領あり閲するに緋縅と見ゆ其製古様殆類ひなき美

6製次年画人の写今様打掛鎧の図を

7見せて云是延喜兵庫寮の記に所載打かけ鎧の図なり今は

8絶てなしとなん右の異鐘類年を経し故に破損多しと

9いへとも古の打かけ鎧なり蝦夷鎧は打かけ鑓の状を伝て

10夷製すと見へたり

111

2塞の名なるか其所の首長

3たる者何れも営造す

4の名を按るにサシの訛語成

5へし

6条下云とあり

7其外にも(サシ)(サシ)何を

8守麗の城(サシ)をサシと

9いふ又と云も

10皇城の堅固をいへる名

11なるべし

12古へ木をさして兵を防くの

13意より城の訓とはなり

14たるならん

121地図

2首長と云むかし神在て

3此所の海に釣し大なる比目魚得給ひ夷

4等に教曰此魚は神也我是を山に祭ん

5此後此山のみ比目魚の形したる残雪有

6べし其時汝等此海に漁せは多く比目魚を

7得て糧と成んと云給ひしに今に至りて

8神の言の如し故に旧と云

9しを転訛して今といふ

10は雪の称は比目魚の訓也

131|ニシントリ鯡漁図

2網(ヤ)   鰊鯑

3魚坪(

141写生の方言と言文字を製して鯡の字を用ゆ

2春彼岸より四月頃まて漁る

3何地よりも多産せり

4西夷地の鯡長大にして上品也

5四十尾を繋き一把とし背肉を

6切り脯日欠(ヒカケ)ニテに製す数の子其中

7より得る生肉は和らかにして

8味あし此島の民鯡昆布を

9採るを業とし農事を知ら

10さるに似たり

151昆布は六月土用より

2八月十五日まて採れり

3

4蝦夷第三等

5等言親族死亡孫_レ子

6数人常恐被狄徒抄略乎請於

7造建郡家為編戸民

8永保安堵又蝦夷

9等言先祖以来貢献昆

10布常扶此地年時不闕今国府

11郭下相去道遠後還累旬志多

12辛苦請於使建部家同

13於百姓共率親族永不闕

14貢並許之

161一御上り昆布一曰天下昆布

2より東海浜にて産

3せり長さ丈三四尺幅五六寸

4紅黄緑色採て清浄の

5地を撰み乾す五十枚を一把

6としまた其上を昆布にて

7包み十六所結庁に奉る是

8昆布の絶品とす

9昆布は東海に

10産す長七尋余幅壱尺

11三四寸緑色味甘美此昆布は

12に送る

13一菓子昆布色黒緑長壱尺

14はかり味至て甘美

15より海底に産す

16一夷地

17より出る品長七尋余幅三

18四寸緑色此外処々より産す

19雑品なり

171鮭魚の事なり奥地殊に多し

2初秋より河に登り川岸に至れは河

3し雌魚尾をもつて河底を掃

4卵を放せは雄魚しら子をかくる如

5粘にして魚卵河底に付

6流ることなしいかなる

7激流といへども魚の

8登ざる河なし故に

9所によりて魚の

10余多登るゆへに

11洪水する事有

12来春雪解に

13水と共に急卵

14魚となりて大洋

15に至る其河より

16生たる魚他の

17河へ登ること

18なしと云

181蝦夷鷲を獲るに

2深山幽谷激流の

3傍に小屋を建て

4中へ夜の中に入如図

5繋置魚のはねるを

6見て鷲来りとらんと

7する所を五尺計り

8なる杖の先に鍵を

9付置鷲の趾をかけ

10獲る事也至てひそ

11かに忍ひ居ざれは

12うることかたし

13権僧正

14みちのくのえぞか

15ちしまの

16鷲の羽に

17妙なるのりの

18文字も

19ありけり

191

2山林曠野の中に弩のことくなる

3弓を掛置諸獣を躰(イ)獲る其

4獣の大小によりて矢の高さを手

5束にはかり懸置ぬ張る所の

6糸にさわれは毒矢発

7出す其矢獣に当れば

8たち処に斃るアマは

9置事をいふクワは

10弓なり

11かけ置処には

12必木に木幣を立て

13人の当らざるしるし

14とす

201斆曰膃肭臍多_二偽者_一海中有獣曰水鳥

2海人取其腎以充膃肭臍其物自別真

3者有一対則両重薄皮裹丸按其皮上自

4有肉黄毛二穴三茎収之器中年々湿潤

5如新或置睡天頭上其天忽驚跳若狂

6者為真也曰按云骨𧰹獣出

7云膃肭臍出女直

8獣似狐脚高如矢走如飛

9取其腎清油名膃肭臍観之則似狐之

10説非無也蓋似狐似鹿者其毛色爾似

11狗者其足形也似魚者其尾形也入薬

12用外腎而曰臍者連臍取之也又

13豽獣出似貍蒼黒色無前両足

14能捕鼠曰晋時獲一

15獣似狗豿文有角両脚拠此則豽有水陸二

16種而所謂似狐長尾者其此類与

211ノ蒼海に膃肭獣を出せり冬十

2月より春三月四月比まて夷に命してとらしむる此

3漁事よくするものをテハ蝦夷といえり其比に至は

4物着くさくさなして舟を清浄め木幣神酒を製

5して海神舟神を祭る膃肭方名といふ雌

6といふ大サ三四尺余亦一種といふ

7品あり大サ五尺計より六七尺二種ともに牙ありて

8上は支歯也波に浮たる状図のことし西地

9いつる所尾鰭少しもあり空おたやかに波静

10なる日をうかひて漁事に出るあとて物音を禁し

11家の婦女等食事さへひそかにせされは彼

12もの驚して眼をさますとぞ捕獲て帰れば窓より

13入る其外漁事具出し入までもかく窓よりせされ

14ば獲かたしとなむ

251とりゑて会所に

2出せは米衣服

3烟草をあたふる

261

2海狗腎 鹹大熱無毒

3斆曰用酒浸一日紙裹炙香剉搗或於銀器中以

4酒肉熟合

5曰以椒樟則不懐

6治男子病気塊積冷労気腎精衰損

7多色成労瘦粋

271

2蔓草なり蘿摩の同類別種

3花実葉蔓相似たり実は三稜

4にして三四実ツ房をなす蘿

5摩より綿少し根図の如し

6炮り食ふに味甘美また乾製

7して末となし金瘡に粘す血

8をとむること神功辺の

9土俗伝へて言馬の病に用ひて

10効ある故 生馬()の名ありと

281

2蟹の名なり渓澗微流に

3多産す水中へ味噌を投す

4れは石間より群し出て是を

5喰ふ捕得て炮りくろふに

6其味美夏月土用の中に此蟹を

7得て頭中を破り大豆計りの

8かたき石を得る即紅毛人持

9来るヲタリカンキリなるもの

10是なり小便閉に用て

11奇効あり

12方言さりかにといふ捕

13得て地上に置けはあとへ〳〵と

14却退する故に

15名ありと云々

291水豹(アザラシ)なり大さ五六尺

2全体黒色豹紋白明なるを

3鼈甲班とて最上とす炭色

4の品多し一種全身に大水

5字の文理あり何れも

6有西夷地海辺に

7産せり

8曰仏師仏工

9料におくる七間々中径水

10豹皮六十枚とあり

11一トと云海獣あり大さ

12丈にあまる色頭如鼠を

13よし皮を綱に製し用るに

14切ることなし油は灯に用ひ

15肉の味鯨肉の甘美なり

16全物見されは図を

17出さす

301

2奥夷地何処にもあり大さ

3如家鴨イトとは鼻の称ヒル

4カとは善といへる語なりネカ

5ツブは鳥の通称地名

6群島にわたれは木の生せさ

7る島あり其所にて此鳥

8を捕て骨を焼て肉を

9煮て食ふと言

311写生

2此草平原曠野に繁茂す嘗試

3するに其味微甘鹹夷人根を採りて

4米位のことく剉き蒸熟して麹となし

5又別に一種煮熟したるを製して麹

6と合して酒を造る其味本邦の濁

7酒にひとしく酔を発するも亦異ることなし

321山鼠也

2全体五道あり写生の

3如し曰く石虎に

4似り或曰曰華

5錦鼠ともいへり

331

2よろずいろ〳〵

3

4

341すべる時皆

2声〳〵に

3されよ〳〵と云

4辺積

5雪にいたれは童男

6女坂ある所に集り

7如図深雪の坂より

8すへり下る事を

9遊楽とす

351女子は市中村里とも髪長くして美艶細腰なる者多し

2然も衣服は又は図の如くさしたるも有又は白木

3綿の服を着するもあり前垂布の紐を広くして帯

4の代ともせり

361近郷の人民は

2春夏鯡昆布を採る事を

3業として農事はしらさる

4に似たり女子畑を耕して

5粟蕎麦大豆なと播植して

6食糧す

371西五里

2氏神の傍より桶二十二躯堀出す

3往古の器と見ゆ

4云此神体は裘を着し

5たる形なりの丘より

6も堀出せし事もあり形すこし

7異といへとも髪衣服類の文

8理かくのことし按するに女像なり

9眼口のあたりに点刺するは今の

10文身髪を組て頭上に結ひし

11形なりと

12一蝦夷子なき者神に祈りて子を

13生すれは生長の後髪を切らず

14三組にして垂置ぬ名を

15と云

16

17

18神髪なり此外処々

19にあり按るに是大古の

20断裁の器無き時は

21乱垂となるをいと

22ひ三組とせし

23なるべし裘は

24袋の如く製し

25裾よりかふりて

26此を着す此

27服近夷地には

28絶てなし奥

29夷地には婦女の服とす密会邪淫を

30いましむる為なりと云此土偶は蓋し

31初の婦妾の代りに墳墓に埋しならん

381二十八年冬十月丙寅朔庚午天皇母弟

2薨十一月丙申朔丁酉葬於是集近

3習者悉生而埋立於陵城日不死昼夜泣吟遂死而爛臰之犬

4烏聚噉焉天皇聞此泣吟之心有悲傷詔羣卿曰夫以生所愛令

5殉已者是甚傷矣其雖古風之非良何自今以後議之止殉

6同卅二年秋七月甲戌朔己卯皇后一曰日葉酢根尊薨臨葬

7有日焉天皇詔群卿曰従死之道前知不可命此行之葬奈之為何

8於是進曰夫君王陵墓埋立生人是不也豈得

9後葉乎願今将議使事而奏之則使者喚上之土部

10人自領土部等取埴以造作人馬及種種物形献于天皇曰自今

11以後以是土物交易生人樹於陵墓為後葉之法則天皇於是大

12喜之詔曰汝之使議寔洽朕心則其土物始立于

13之墓仍号是土物語垣輪亦名立物也仍下令曰自今以後

14陵墓必樹是土物無傷人焉天皇厚賞之功亦賜鍜

15地即任土部職因改本性謂等之始祖也

16肖像

391(          ━━━━   )図

2島に産する狐なり

3毛色淡黒なり

4

5国司

6所献黒狐即合上瑞国

7司自已上追位階

401西地

2と云所に

3柱石あり其

4内に夷鎧の形を

5なしたるあり

6伝へ云

7ぬぎ置給ひし

8鎧化して石となると

9甚奇異本邦の

10なき処なり

411島は市より東北三百余里に在

2侯よりも守護の士いたらざりしに

3夏 なる者独立して

4渡る島夷本邦人をはじめてみるに群集

5せりといふ風俗太古を存し人質如神草を

6編て服とし鳥獣の皮を裘となして寒

7を凌く冬は氷海となりて寒気甚し

421一曰島より東北

2二十里にあり往年始て

3此島に渡り地図を製

4島の夷初夏より

5此島に渡りて猟虎の音によりて諸人文字を製

6を獲る大さ六七尺毛厚くして

7縦横上下のわかちなく色紫黒

8席皮の上品とす

9猟虎海上に浮む

10時は腹を上にして

11浮游なり

12岐岩にも

13登ると云

431ウルツプ嶼に何頃よりか

2妾従僕四十人はかり住居す其肖像を写于此

441は西夷地より西廿里にあり

2島の極を当す者なし明和年間

3を遣して五十有余里を順島せし

4む夫よりに館を建て鎮護す享

5和改元年信濃守

6台令西夷地を回り属吏

7に命して南北二百余里の地理をしむ

8古より共にに来り

9持渡る錦玉煙管の種々獺狐狸鹿の

10皮と交易す煙管には満文を刻す漢文

11字を記したるもあり錦はにて

12製せるをに渡来す

13と織入しを予蔵せり初め此島の

14と共にに来り服を

15着したり唐人と云しより島名となり

16たるかより西百里にと云

17所あり是此島の名なるよし

18かたれり

19一風俗も蝦夷とは少し異り服も蕁麻

20糸にて織り文鋪如図冬春は穴居し土

21隅埴物を製し用ゆまた家々犬を

22飼ふ児犬の時陰嚢をぬく玉を抜取

23育つれは後勇猛多力にして舟を引

24亦雪中車を牽く雌犬に交合の気を発せす

451熊牙取図

471使犬引舟図

481

2ホロコタン一名

491首長墓

501女夷墓

511附言

2居なから異域のを知ることこれ歌人の性には

3あらねと此書を買するに甚面白くされは

4???下の秘せる所なるを乞得て写し得ること

5形のことく冊なりて亦序を

6ねたりてもつて願素の一物とはなしむる

7時に嘉永の丑とし弥生中旬

8

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